【日本語教師】日本語教師について現職の方にお話聞いてみた
昨日、とあるカフェで日本語教師についての説明会的なものに参加しました。
今年で新3年生になり、将来の職業を真剣に考え始めないといけない年頃ということもあり、まずは色々な職業や就活の仕方について知ろうと思い立ったので、その記念すべき1つ目の職業探究が「日本語教師」になりました。
今回の記事は、昨日現職の先生から直接聞いた「日本語教師について」をまとめていこうと思います。
日本語教師に興味のある方の参考に少しでもなればと思います。
〈もくじ〉
日本語教師になるための三種の神器
日本語教師になるためには、3つのものが必要とされます。
①日本語教育能力検定試験合格
②大学院卒業
③経験
この3つです。
それぞれについて以下で詳細に見ていきましょう。
①日本語教育能力検定試験合格
日本語教育能力検定試験とは、「日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的としている」検定です。
現在、日本語教師になるための法的資格はないので、「日本語教育能力検定試験」が日本語教師になるための資格のような役割を果たしています。
そのため、日本語教師を志す者にとってこの試験の合格は必須です。
ちなみに、試験問題はこんな感じ。
問題:次の文章を読み、下の問いに答えよ。(平成28年度日本語教育能力検定試験より一部改訂)
コミュニケーション能力の育成を重視した教授理念に、コミュニカティブ・アプローチがある。指導にあたっては、現実のコミュニケーション場面に基づいた教材を使用し、実践的な言語活動を行う。
問 文章中の下線部「コミュニカティブ・アプローチ」の背景となる考え方の一つとして最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
1 学習の初期段階では理解優先とし、目標言語で発言することへの心理的圧迫を避ける。
2 目標言語の音声や文法を習慣づけることで、母語の干渉を無くすことができる。
3 言語学習は単なる習慣形成ではなく、学習者自らが機能的に文法規則を見つけるものである
4 会話の中で意味交渉が生じることによって、言語習得が促進される。
ちなみに、答えは4。
このように出題範囲は外国語教授法や社会・文化・地域など多岐にわたります。
より詳しい情報については、日本語教育能力検定試験のホームページをチェックしてください。
②大学院卒業
大学院卒業は必須ではないが、日本語教師の職を得る際にかなり有利。
できれば「日本語教育」の大学院がベストだが、「教育学系」でも可だそうです。
ではなぜ有利になるのか、大きく分けて3つの理由があります。
まず1つが、日本の大学院進学を希望する留学生が増えているということです。そのため、大学院を卒業して「修士」・「博士」の称号を持っていると、大学院進学を志望する留学生に日本語を教えることができ、日本語教師の職を得るチャンスが大幅に広がります。
次に2つ目の理由が、海外で日本語教師になる際にVisaを取得しやすくなるということです。大卒よりも院卒のようにより高い学歴がVisaを取りやすいということを覚えておきましょう。
最後に3つ目の理由が、 人脈が広がるということです。先生もおっしゃっていましたが、日本語教師の職を得るには「人脈」がとても重要となってきます。大学教授の職にも共通する話ですが、日本語教師のような希少性の高い職業になってくると、やはりどうしても誰かのコネでないと職を得られないことが多くなります。大学院に進学することでそのような希少性の高い人と繋がりが持てるため、日本語教師の職を斡旋してもらえる確率もグッとアップします。
「いやちょっと待ってよ、大学院なんて進学するつもりないよ!」と思っている方。安心してください。
そういう方は卒業論文を「日本語学系」や「異文化コミュニケーション」などに関することで書くと有利になるかも。
もしくは、大学在学中に日本語教育の授業を取れるだけ取っておきましょう。
ただし、そういった卒論どうこうよりもやっぱり大学院卒の方が日本語教師になるときに有利です。
③経験
経験も日本語教師になる際には必須であるといっても過言ではないでしょう。
どのようなことが経験なのかというと、日本語授業のTAをしたり、日本語教師のボランティア活動をしてみたり、非常勤講師になったりなど様々。
この内、給料が発生するTAと非常勤講師は日本語学校等に応募する際に特に有利になります。
ちなみに、TAのなり方は大学ごとで異なるため、それぞれの大学で確認してもらいましょう。
非常勤講師のなり方については後ほど説明します。
補足:教員免許について
教員免許を取得していることも日本語教師になる際に有利に働きます。
日本の小・中・高で日本語教師の募集がかかったときに、どの教科でもいいので何か教員免許を持っていないと応募することができないからです。
ちなみに教科についてですが、日本の学校で日本語教師として働く際に国語が一番有利となるそうです。その他に最近では帰国子女が増えてきている英語も有利だそう。
また、大学で教職を履修している方なら聞いたことがある「学校インターンシップ」で、帰国子女の日本語指導に関する業務内容を選んで参加することで、後日その学校から「うちで日本語教師になってくれないか」というオファーが来る場合があります。
日本語教師の就活
「日本語教師ってどうやって就活してるんだろう?」と疑問に思った方は多いんじゃないでしょうか。
その疑問にお答えします。
日本語教師の就活手段は大きく分けて3つ存在します。1つ1つ見ていきましょう。
①JREC
JRECとは、大学職専門の求人公募サイトのことです。
言うなればマイナビやリクナビの大学職版というところでしょうか。
ここに登録しておくことで、日本の大学の日本語教師公募情報をいち早くゲットすることができます。
しかし注意してほしいのは、大学院生しか登録できません。学士課程の人は登録できないので注意してください。
②日本村
日本村とは、「日本語教師・職員求人情報」に特化したサイトです。
このサイトに関しては、学歴問わず誰でも利用することが可能です。
日本語教師を志す人は必ずこのサイトをチェックしておきましょう。なぜかというと、掲載されている様々な求人情報をチェックしておくことで、日本語教師の募集要項の概要を把握することができます。さらに、国ごとによる募集要項の違い・特徴も把握することができるので、準備する際に大変役に立ちます。
③JICA
JICA(ジャイカ)とは、「独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency)」の略称で、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行う活動をしています。
JICAは様々な事業を展開しており、その内の「日本語教育」の仕事に応募するという手段があります。
JICAで日本語教師になるメリットは、給料が日本の口座に直接振り込まれるため帰国後が安心ということが挙げられます。海外の日本語教師求人に自分で応募するとなると、海外で給料振込用の口座を開設する必要がありますが、JICAを通じて日本語教師になるとその必要がありません。
逆にデメリットは、JICAは後進国をターゲットにしていることもあり、給料が低いです。また、最低でも2年間はその国から出られません。途中で嫌になっても2年間は耐えないといけない。そう考えるとちょっと不安な気持ちになります。
補足:日本語教師の求人公募が多い時期とは
日本語教師の求人公募が多い時期は、4月と9月だと言われています。日本の学校システムでは春学期が4月から、秋学期が9月からであることから、留学生もこの時期に合わせて日本にやってきます。そのため4月と9月は日本語教師の需要が急上昇するという仕組みです。
しかし裏を返せば、4月と9月以外の月で募集をかけてる日本語学校は危ない可能性大です。先ほども述べたように、4月と9月以外は留学生が日本にやってくることは少なく、日本語教師の需要も低いです。それにも関わらず募集をかけているということは、職場での人間関係や職場環境に何か問題があって辞職した教師がいるためにその枠が空いているということです。ただし、これはあくまでも可能性の問題で、絶対にそうだという訳ではないのでご了承願いたい。
日本 or 海外?
日本で日本語教師になるべきか、海外でなるべきか。それを考える上での参考になるようなことを書いていきます。
まず、いきなり結論から言うと、「日本でキャリアをスタートしてから、その後に海外で働く」のがベストです。
日本の日本語学校の方が仕事が忙しく、一方で海外の日本語学校は比較的仕事が緩いそうです。先生が実際に海外の日本語学校に勤めていた時の経験によると、ひらがなを教えるだけに半年も使ったそうです(笑)そんな緩いカリキュラムでもオーケーなのが海外の日本語学校です。
つまり、先に忙しいのを経験して、その後に比較的楽なのに移る方が理にかなっているということです。もし逆に先に海外、後で日本にしてしまうと、より多くの負担を日本帰国後に感じてしまうことになります。
また、自分の本拠地である日本で日本語教師の仕事に慣れ親しんでおくことで、もしも将来足を踏み入れたことのない国で働くとなったときに、日本で仕事内容をすでに把握しているため安心できます。
ちなみに、皆さん海外旅行に行くことがあると思いますが、その時にあらかじめ現地の日本語学校にメールでアポイントメントを取っておいて一度見学させてもらうことをお勧めします。そうすることで現地の日本語学校の様子を肌で感じることができますし、相手側からしても、「見学するぐらいこの学校で働きたいんだな」と思ってもらえるので、もしもその学校で日本語教師の空きが出た際に直接連絡してもらえます。
先生も海外旅行に行ったときに事前にメールでアポを取って、現地の日本語学校を2校見学させてもらったそうですが、実際に見学してみると何だかしっくりこなかったそうです。しかしその帰り道でたまたま通り過ぎた日本語学校に一目惚れして、帰国後早速「あなたの学校で働きたいんですが、日本語教師に空きはありますか?」とメールを送りました。すると返事が来て、「今のところ空きはないですが、もし出れば連絡します」とのこと。最初は社交辞令かと思ったそうですが、数か月後に本当に求人の連絡が来たそうです。
この先生の経験談からも、現地の日本語学校で実際に見学させてもらうことの重要性が伝わってきます。
補足:海外の日本語学校に応募する前に確認しておくべきこと
海外の日本語学校に応募する前に、以下の3つを確認しておきましょう。
①Visa代払ってくれるか
②海外保険料払ってくれるか
③渡航費払ってくれるか
この3つが整っていれば、それは最高の日本語学校と言えるでしょう。
ちなみに、海外で日本人教師になるには「専任」としてのみなることができます。非常勤講師として海外で働くことはできません。
日本語学校のランク分け
日本語学校には大きく分けてA校、B校、C校の3つにランク分けされます。
学生の質が高い
A校(予備校チック) ↑
B校(遊学)
C校(一癖あり) ↓
低い
ざっくり図式化するとこんな感じです。
A校は主に日本の大学院進学を狙う学生が集まるため、学生の質が高いです。日本の予備校と似たような雰囲気があるかもしれません。
B校はまさに「遊学」という言葉がぴったりで、楽しむために日本に留学に来た学生が中心です。
C校は主にブローカーに騙され高額のお金を払い日本に送られ、賃金を稼ぐために必死に働いている人などが集まる一癖ある学校です。そのため、学生の質はよろしくないと言えます。
日本語教師になりたい人は、まずA校からキャリアをスタートさせましょう。
※昨日お話を伺った先生にこのA校を明かしていいのかどうか許可を取っていないため、ここでは具体的にどこがA校なのかを明記することはできません。知りたい方は僕のツイッターの方にダイレクトメールを送ってもらえれば、そこでお伝えします。)
補足:日本にある日本語学校の闇
「日本語学校の闇」と大げさなタイトルを付けさせてもらいました。
どういうことかと言うと、日本にある日本語学校で「ヤクザ・宗教・不法労働」のどれにも関わっていない学校は稀であるそうです。あくまでも、「先生によると」ですが。
日本語教師の給料
日本語教師の給料は常勤か非常勤か、外国で働くか日本で働くか、マンツーマン指導か集団指導か、など働き方によって様々です。
非常勤講師に絞って説明すると、非常勤講師は「コマ給制」です。1コマ(50分くらい)で1300円程度で、一日に多くても4コマしか授業を担当することができないため、給料はよろしくないでしょう。
さらに、普通の学校と同じように日本語学校にも夏休みなどの長期休暇が存在するため、その間は必然的に働くことができません。なので他のアルバイトと掛け持ちしている非常勤講師が多いそうです。
その他の業務体系の給料については以下のサイトで詳しく解説してくれているので、そちらをご確認ください。
まとめ
今回は現職の方からお聞きした「日本語教師」についてのお話を記事にまとめました。
入管法が改正され多くの外国人が日本にやってくる中、日本語教師の需要はアップすると予想されます。
そのため、「日本語教師」を将来就く職業の選択肢に入れておいた方がいいのかもしれません。